2007年03月15日

気候ネットワーク公開セミナーに行って来た

3月12日(月)にあった「気候ネットワーク連続公開セミナー・〜京都議定書目標達成計画見直しを考える〜「第1回 電力と産業部門の現状と課題」」に行って来た。

環境NPOのセミナーに行くのは初めてかもしれない。
京都議定書関連の最近の状況が知りたかったのでいってみた。

発表は予定されていた浅岡さんがのどの調子が悪く、畑さんがほぼすべて話されていた。

「京都議定書目標達成計画」というものがあり、それの見直しが行われているらしい。
で、その見直しの結果によってここ数年の日本の方向が決まるとのこと。

以下そのあたりのメモ
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●IPCC第4次報告
 「20世紀半ば以降に観測された世界平均気温の上昇のほとんどは、人為起源の温室効果ガスの増加によってもたらされた可能性がかなり高い」

●日本の温室効果ガス排出
 ◆基準年から2005年まで8%増加
  12億6140万トン(基準年)→13億6350万トン(2005年)
  6%の削減のためには14%の削減が必要
 ◆基準年
  CO2、メタン、一酸化炭素 → 1990年
  代替フロンのHFC、PFC、SF6 → 1995年
 ◆CO2排出量
  11億4410万トン(1990年)→12億9670万トン(2005年)
  13.3%増加

●京都議定書目標達成計画
 2005年4月28日、地球温暖化対策推進法に基づき政府が閣議決定した計画。
 日本の温暖化対策・政策の中心
 地球温暖化大綱よりも進んだ面もあるが数字合わせの面も多い

●目標達成計画の6%削減の内訳
 国内排出削減:-0.5%
  エネルギー起源CO2:+0.6%
  非エネルギー起源CO2、メタン、一酸化炭素:-1.2%
  代替フロン等3ガス(HFC,PFC,SF6):+0.1%
 森林吸収源(国内):-3.9%
 京都メカニズム(排出量取引):-1.6%

 ※京都議定書目標達成計画の骨子がネタ元らしい

●目標達成計画評価・見直しのスケジュール
 2006年11月
  中央環境審議会(環境省)と産業構造審議会(経産省)合同で評価見直し作業開始
 2006年11月〜12月
  交通政策審議会社会資本整備審議会(国土交通省)で評価見直し開始
 2007年3月〜4月
  進捗状況の評価の中間的とりまとめ
 2007年6月〜7月
  評価・見直しにかかわる中間報告の取りまとめ
 2007年12月
  評価・見直しにかかわる最終報告の取りまとめ
 2008年3月
  新・京都議定書目標達成計画の閣議決定 

●目標達成計画の見直しの重要性
 今回の評価・見直しは第1約束期間(2008年〜2012年)直前の最後の政策見直し機会
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IPCC 第4次評価報告書第1作業部会報告書 政策決定者向け要約(PDF・英語)

気象庁「IPCC 第4次評価報告書第1作業部会報告書 政策決定者向け要約」(暫定翻訳版)

経産省・京都議定書目標達成計画の閣議決定について


その後、「経団連の環境自主行動計画」に問題があるよというお話があった。
1週間後の東京のセミナーへ向けてまとめられていたらしく、話にまとまりがない感じだった。


京都議定書目標達成計画を受けて経団連が環境自主行動計画をつくったらしい。
何故、政府でも企業でもなく経団連が計画をつくるのか不思議な感じ。

以下メモ(飛び飛びを強引にまとめたのでかなり違っているかも)
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「経団連の環境自主行動計画について」
●経団連に参加している産業・エネルギー転換部門の35業種で
 日本全体のCO2排出量の39%
 直接排出(発電所の排出量を電力として計算)では58%

●問題点1
 経団連全体の目標は「ゼロ削減」
 →「1990年度レベル以下に抑制するよう努力する」
 
 京都議定書の-6%、省エネ法の努力目標(年-1%)と比べて目標が低い

●問題点2
 各業種・業界ごとに、総量か原単位のどちらかの目標を選択できる
 生産増の業界は原単位目標を設定し、生産減の業界は総量目標を設定している
 →これでは目標を達成しても温室効果ガスは減らない

 原単位目標:生産あたりの排出量
 総量目標:業界全体の排出量

●問題点3
 政策との関係や位置づけがあいまい
 目標未達成時の責任が明確でない。ペナルティーがない。

●問題点4
 目標達成計画に自主行動計画の産業部門の削減効果が4240万トンとあるが、根拠が不明

●問題点5
 政府のフォローアップ体制の精粗
 一定以上の情報を出してフォローアップしているのは経産省所管の33業種のみ
 農林水産省(食品産業)がそれについでプロセスが公開されている
 総務省(通信産業)は審議会に報告されるにとどまる
 国土交通省(運輸関係業種と建設業)は3年もフォローアップを行っていない
 ※これって環境自主行動計画の問題とはちょっと違うような

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その後で、石炭燃料の増加が問題という話。
意外なことに石炭による火力発電が増えているらしい。
かなり詳細に分析されていた。

そのあたりのメモ
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●日本のCO2排出量の3分の1が石炭から

●石炭の消費割合
 電気事業者:約半分
 鉄鋼業:約4分の1
 自家発電+産業用燃料:約4分の1
 
●発電に占める石炭の割合
 電力会社10社と電源開発・日本原子力発電
 2005年度
  原発:31.5%
  石炭火力発電:25.4%
  LNG(天然ガス)火力発電:24.0%
 ※平成18年度電力供給計画の概要についてがネタ元らしい

●石炭消費の増加
 1990年から日本の石炭消費量は約5割増加
 石炭起源CO2の割合:28%(1990年)→35%(2004年度)
  78百万トンCO2→197百万トンCO2

 主な原因は、石炭発電(2.5倍)と産業部門の石炭による自家発電(1.8倍)の増加

●石炭火力発電
 1990年以降設備は3倍以上
  背景としては、電力自由化で電気料金を下げるために最も安い石炭が多用された

●産業の自家発電の石炭火力発電増加
 産業部門(製造業)の2004年度のCO2排出量の半分が石炭
 素材4業種(鉄鋼、化学、紙パルプ、窒業土石)と石油製品が自家発電が多い
 →素材4業種で石炭の割合が高い

 →各企業のCO2排出量としてカウントされる
  経団連の環境自主行動計画への影響はない
  目標設定があまいからと考えられる

●電力12社の自主行動計画
 1990年から原単位20%向上させる計画
 現在のところは90年からほとんど変わっていない
 原発の設備利用率が非現実的な値で計画
  2005年度設備利用率実績:71%
  2010年度設備利用率計画:83%

●成り行きでは大幅増加は必至
 石炭に課税するなどしない限り、2010年でもあまりかわらないと思われる
 2005年と同じCO2排出原単位で計算したら7600万トン増える
 →6%に相当
 
 市場メカニズムで年1000トン買ってくるという話になっているがとても足りないのでは?

●当面の電源シフトによる電力会社の削減可能性
 石炭からLNGへ改修せずに、LNGの設備利用率を上げることで6200万トンのCO2削減
 ※聞いていてこのあたりは疑問
 ※現状の設備利用率が低い理由はなんだろう?

浅岡:
 石油が高くなったので、天然ガスと石炭へシフト
 →石炭へシフトさせないように問題点を指摘していく
 石炭シフトができたのは、効率改善した分を石炭で埋めている
 指標で好きな方を選べるのが問題
 第三者が評価して決める仕組みが必要
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資源エネルギー庁「需給関連」

気候ネットワークの畑さんや浅岡さんは石炭から天然ガスへの「燃料転換」をすべきという主張をされていた。

天然ガスの大量購入による国際価格の上昇や、それに伴う海外での石炭消費の増加の可能性について質問が出ていたが、そこまで考慮されていないとのこと。

コスト面、資源の確保の問題、設備面でもどのくらい現実的なのか調査していないようだった。


「効率は改善したのか」

環境自主行動計画で用いられる生産活動指標の選び方に問題があって、効率はかならずしも改善していないという話。

そのあたりを以下にメモ
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●経団連報告と政府の統計の違い
 ◆経団連
  35業種で1990〜2005年度で、生産活動が10%増加、生産あたりのCO2排出量は10.9%改善
 ◆経済産業省
  鉱工業生産指数(IIP)は製造業で0.8%増加
  生産工業指数あたりのエネルギー原単位は11.2%悪化

●不適切な生産活動指標の例
 ◆自動車製造業
  物量ベースでなく生産金額を用いている
 ◆電気電子
  デフレータにより補正、補正方法は不明
 ◆小売業
  床面積と営業時間の積を活動指標に

浅岡:
 自動車は高級車を売るほど改善したことになる
 スーパーは時間を長くしたり、店舗を増やせば改善したことに
 →排出量の増加につながる
 これで効率がよくなったと言っていたらどんどん悪化する
 新聞に環境目標達成の記事が載ったが実際はこういうこと

浅岡:
 業界(全体)で何パーセント改善となっている
 業界に参加している分布を見せていませんので
 現在では事業所の分布のデータを要求しているが、出してくれない
 最後の数字だけみているのがフォローアップ審議会なので、あまりフォローアップになっていない

●工場ごとのばらつき
 工場にこそトップランナー基準をすべき
 発電所の発電効率
  最近のLNG火発を中心にコンバインド化で40%台後半なども
  一方30%台半ば以下の効率の悪い発電所もある

●経団連の目標達成予測は情報が少なすぎて検証できない

●カギを握る2大排出元の鉄鋼と電力
 電力配分後で、経団連35業種の4割弱を占める

●鉄鋼の生産減を想定
 目標達成計画では、1990→2010年度でエネルギー消費量10%削減
 生産量が10%削減を予定していたが、鉄鋼業界の未曾有の好景気で現在90年度比微増している

●電力
 電力業界の目標は、CO2排出原単位を1990→2010年度で20%低減
 原発の大量増設を計画していたが進まず
 石炭火力発電が大量増設された
 →2005年度のCO2排出原単位は1990年度よりも悪化

●京都メカニズム依存の増大の可能性
 電気事業連合会は1000万トン/年
 日本鉄鋼連盟は560万トン/年
 を取得予定だが、このままでは7000万トン〜8000万トンも買ってくることになりかねない

●政策提案
 1、なんらかの総量キャップが必要
   総量と原単位の両方の目標が必要
 2、燃料対策。石炭課税
 3、工場トップランナー基準
   効率の悪い工場を引き上げていく

浅岡:
 京都がデータを公開しはじめてまだ1年目
 データ自体は国と同じもの
 大企業は同じで、スーパーなどは店舗ごとは基準に合わなくてもチェーンで基準に合う場合は含まれるなど
 意味があるのは国のデータは経産省が隠している
 京都市、京都府ではそれが公開された
 兵庫県、東京都でも同じ制度があるが、京都が一番公開している

 環境省の4月から始まったものは、経産省や国土交通省が受け取って環境省へデータを渡している
 問題は燃料別のデータがわからない
 事業者ごとに公表することになっているが、事業者が製造原価がわかることで嫌がっている→製鉄所など
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京都府の話はなんのことかわからなかったけど、ぐぐったら京都府地球温暖化対策条例で「排出量削減計画書等の報告・公表制度」というものがあるらしい。

対策をするためには正確な情報が必要なわけで、やっとその基盤が整いつつある状況なのかもしれない。
posted by 端っこなひと at 02:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 環境 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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