2006年07月30日

「環境リスク管理のための人材養成」プログラム・第20回特別講演会のメモ

7月28日(金)にあった「環境リスク管理のための人材養成」プログラム・第20回特別講演会のメモ

BCM(BCP)と大災害のお話の2本立て。

少し遅刻して到着。
道中が暑かったのなんの。
夏の中ノ島は人間が耐えられる限界を超えているような気がする。


●BCMに関しては、インフラの役割を果たしている組織なら昔からやっているはず。

最近はインフラの範囲が広がってきているので、今まで関係なかったところが対応を迫られているらしい。
中小企業でも取引先から求められるケースが増えているのかも。

ISOも制定中という話だったし新しいツールが整備されつつあるのでマネージメントの標準化は進んでいきそう。


●大災害は気にしていたらやっていけない部分もあるので、リスクを受容する部分は必要なんだけどねえ。
組織のミッションによって求められるレベルが違うから、他の業界のマネをするわけにもいかないしなあ。

地道にリスク分析するのはしんどそうやけど・・・やるしかないのかなあ?
その立場でないのでヒトゴトだけど。


以下メモ。
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「事業継続マネジメントの観点からの広域災害リスクに対する意思決定」
長岡技術科学大学大学院技術研究科
渡辺研司

●BCMの重要性台頭の背景
 効率的だが障害時に(問題が)効率的に伝わる

 新潟地震で、部品を調達してるメーカーがラインを止める
 →自社がちゃんとやっていてもサプライチェーンが止まる

 広域連鎖障害
 免責範囲の縮小
  うまく対応できたところとそうでないところでは、その後の取引に影響

●企業の競争力・価値の変質
 財務状況だけでなく、無形価値も
  信頼感:存続企業としての前提
    ここが崩れると企業価値が崩れる

2、企業経営におけるBCMの実践と先進事例

●取り入れている企業のパターン
 ◆取引先からの要求
  受動的、効果低い
 ◆制度対応
  官庁などからの指導など
  ISOへの対応
 ◆業界内標準
  ここでは競争するべき分野でないという判断
 ◆戦略的経営課題
  リスクを開示。100%大丈夫と言うほど危険
  これくらいのリスクがあってこう対応するとか
  残余リスクには、こういうときにはどう対応するなど。
  脆弱性情報を出すのは危険なのでそのあたりは工夫

 想定外でした。起こってはいけないことが。。。(という言い訳が)あまりにも起こりすぎている!

●先進事例2
 P社:新潟地震では長岡工場が被害
  信州工場へあまった人を動かしたり
  壊れた機械を信州工場から持ってきたりして、
  たすきがけでしのいだ

 サプライ・チェーン
  新潟地震でバイクの部品メーカーが被災
   本田や川崎の生産ラインに影響
   →各社が技術員を派遣して自社の部品を早く作らせた

 サプライチェーン・リスクマネジメント
  あえて意図的に冗長性を持たせるのか
  だれが負担するか?

 地域コミュニティ
  ひとつの会社が残ってもしようがない。地域としての機能が必要

●地域型BCPの効用とその実践
 地域共同体
  社会インフラ、環境、労働力など
 社会的責任
  お互い様

  ラインを止めない→従業員に給料を払わなくてはならない
  託児所を設けた
  物資を配る
 企業市民(Corporate Citizenship)
 地域防災計画との事前調整の重要性
  資源をみんな当てにしているので取り合いに。

●先進事例にみるBCM3
 ◆経常費用としての予算化と中長期的人材育成
 ◆日常的な活動として定着
  欧米金融企業
   普段から突然バックアップとってバックアップサイトから運用したり
   本社に入れないということにして、切り替え→お客様にはわからない
 ◆既存の規定・ガイドラインの統合
  勉強会やって(厳密に)作っていると窒息したり
 ◆簡素化されたプロセス
  欧州グローバル
   やりすぎるとBCPもろくなことがない
   年がら年中やっていると大変なので、慣れた人を中心に

●先進事例4
 ◆ドリル・訓練への主要取引先の参加
  重要なお客さんほど訓練に参加してもらう
 ◆監督当局との健全な牽制関係
  あまり距離があると行政指導が連発
  適度な緊張感で
 ◆失敗の分析と共有
 ◆他山の石
  想定外領域の縮小

3、広域災害時の考慮点と今後の方向性

●広域災害時の企業の意思決定
 ◆社内状況の確認
  1、従業員の安否確認(家族も含む)
    家族に何かあれば出社できない
  2、従業員の業務再開可能性と指揮・命令系統の確認
    通常のラインでは、どこかが途切れたらダメに
  3、ファシリティ(社屋、設備、情報システムなど)
 ◆社外状況の確認
  1、社会インフラの状況確認(現状と復旧見込み)
    ライフライン:電力、水、排水、道路など
  2、取引先(調達先・納入先)の状況確認(被災の有無、状況)
    納入先がつぶれているのに一生懸命作っても

  (※そういえば阪神大震災のときに三菱重工は取引先の状況確認に社員が回ってきたと聞いたことがある。
   それにくらべて神戸製鋼は音沙汰がまったくなかったとか)

  3、外部リソース(宿泊施設、輸送機器、建機・重機など)の可用性確認

●情報入手の困難性
 ◆災害発生時間帯による安否確認手段の相違
  出勤前、出勤中、業務中
 ◆通信系の障害による確認方法の限界
 ◆事業復旧オペレーション組成の判断遅延
 ◆社会インフラの復旧見込み情報の限界
  阪神淡路と新潟ではライフラインの復旧状態の情報はあまりかわってない
   欲しい情報はない。ガゼネタと広域情報ばかり
   地域FM局が情報を集めて流すと言う試みも
 ◆ライフラインの断続的な復旧・障害の繰り返し
  新潟地震では同じくらいの地震が何回もきた

●希少リソースの枯渇
 ◆被災地域周辺地区の希少リソースの枯渇
 1、道路交通
 2、燃料・水
   早いもの順
 3、宿泊施設
   早い者勝ち。新潟地震ではマスコミが押さえてしまった
 4、輸送手段(タクシー、レンタカー、トラックなど)
 5、建機・重機
   枯渇。もしくはオペレータがいない
 6、修理・保守サービス

 企業や行政がそれぞれ確保しようとして、調整していないので取り合い

●今後の方向性
1、情報入手の困難性
  ◆家族も含む安否確認システムの導入
   アメリカでは重要な人をつれてきて、人事部の人を家族を守るために派遣など
  ◆自治体、市民による防災GIS情報の活用
   災害マップ
   新潟では決死でトラック会社がまわっていたとか
   →逆にそれを地域に流すのも社会貢献
  ◆緊急地震速報
   早くラインを止める。バックアップを取る
    数秒のところだが、それが命取りに

2、希少リソースの枯渇
 新潟でもやらないとと言う話がでた。でも動きにつながっていない
 ◆企業BCPと自治体防災計画の事前共有
 ◆希少リソースの事前調整
 ◆自助に係わる計判断と通常使用のプロセスへの組込み
  どこまで自前で持つのか
  新潟では冬に落雷があって停電することがある
   各銀行は自家発電装置があって地震でも大丈夫だったとか
  新潟県庁は(建物は)立派だが、自家発電は動かなかった、燃料の問題
  →普段から使っておく

●BCMの範囲の拡大
 担当じゃないのでわかりませんとか
 →業務知識を含めた人員の確保

●単純バックアップから拠点間相互バックアップへ
 大阪のバックアップセンターを立ち上げても人が送れない
  オペレーションがわからないと。。。
  普段から互いにオペレーションを30%づつやっておくなど

 3拠点間相互バックアップをやっているところも

4、BCMに係わる標準化・ガイドライン・制度の動向
 行政が重視しだした
 ◆経産省商務情報局
  「企業における情報セキュリティガバナンスのあり方に関する研究会報告書」(2005年3月)
 ◆内閣府・中央防災会議・民間と市場の力を活かした防災力向上に関する専門調査会
  「事業継続ガイドライン」(2005年8月)
 ◆中小企業庁
  「中小企業のBCP策定・運用指針
  お勧め
  →大企業でも参考に
 ◆内閣官房情報セキュリティセンター(NISC)
  「重要インフラの「安全基準等」の整備」(2006年9月)
  (※ということはまだか)
  重要インフラ専門委員会

●ISO化動向と日本の対応
 2008年夏ごろではないかと?
 各国原案がどうとらえるのか結論でなかった
  認証するのか?
  どこまで?警察などを含むか?

 ◆日本原案
  日本の規格がないので、経産省のものと中央防災会議のガイドラインをベース
  経団連のプレッシャー。ISO14000やISO9000のように突然降ってこないようにしろと
  第三者認証制度を採用しない。
  →しかし認証しないと普及しないという問題も
   中国などはどんどん(工場などが)広がっているのでやらないと
  災害発生直後の公的組織の第一義的活動は対象外
   オールマイティにするとわけがわからない

●日本政策投資銀行
 防災格付けによる金利優遇:経済的なインセンティブ
  投資などの借り入れに関して

 行政が(規制などで)強く出すと、それだけでいいと免責になってしまう。
 
●事業継続性・レジリエンシーの評価
 どれだけいまのものが継続できるか
 過去のデータがないと格付けできない
  どうやって集めるか?
 ◆投資効果
  CMUなどが研究中
 ◆BCM関連投資に関する優遇税制

5、今後の課題とプロフェッショナルの人材育成の重要性

●DRII(試験)
 Disaster Tecovery Institute International(1988-)
 
●BCI
 The Business Continuity Institute(1994-)
  BCM体制に必要とされるスキル・セット(10個)

 (※BCI Japanなんてのもあるんだ〜)

●CONTINUITY CENTRAL
 http://www.continuitycentral.com/

 BCMに関する講義要領(シラバス)
 The Business Cotinuity institute, Academic Syllabus 2005(PDF)

●BCM体制の構築
 AWARE→TRAINED→社内プロフェッショナルの育成
        →組織全体のレジリエンシー向上

●プロフェッショナル人材間の情報・経験共有
 外のネットワークで情報交換
 会社での評価が高くなくても外で評価される

●事業継続にかかわる専門家集団の創設
 NPO法人「事業継続推進機構」
--
質疑応答
Q.企業でBCP,BCMにかかわる仕事をしてるのですが
 ガス事故とか、かなり大きな範囲で
 脆弱性が広いのでどのようにしぼりこめば?
 薄くなれば実効性がないと思いますが
A.そのあたりがリスクの研究者とすれちがっているところ
 リスクの専門家だとリスクマップをつくって・・・。
 BCPの場合は、泥臭い
 ビジネスを突き詰めると、ここを絶対守らないといけないところを
 全社からいくと、大変
 現場から行くと全社をカバーしないのでそれも問題はあるが

 あるプリンタメーカーでは、新製品の開発をとめてもトナーのラインを止めないとか
 あるITサービスベンダでは、サービス要員をどう配置するか

 守るところがどこかを見ていく。そこからいかないと力尽きてしまうケースがありました。
 自分たちの会社を見えてないところが多かった

Q.どれくらいのプロフェッショナルが必要か?
A.属人性が強いのでそう多くはない。
 少数精鋭。少人数のチーム
 アメリカなどでは軍隊経験者が多かった
 あまり育成すると社外に出て行ってしまうこともあるが、資格化が進めば外から取ってくることもできるように




posted by 端っこなひと at 00:02| Comment(0) | TrackBack(0) | セミナー・勉強会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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